
小学校の学校給食の量が少ないという声が、最近になって多く聞こえてきます。
大阪市の学校給食(仕出し弁当形式)が注目され、
”お代わりができない”という声が発端になっているのかもしれません。
当然、文部科学省は、教育委員会を通じて各都道府県へ適正な学校給食の指導をしています。
年齢による平均的な必要カロリー摂取量を定め、食材の質や、栄養バランスとも適正な決まりがあります。
具体的な数値を見てみましょう。
文部科学省では、一日の必要なカロリーの内、1/3を学校給食で取る事を目安にしています。
平均的な1日の必要カロリーは下記(カッコは女子)。
・児童(6歳~7歳)の場合 :1550(1450)カロリー
・児童(8歳~9歳)の場合 :1850(1700)カロリー
・児童(10歳~11歳)の場合 :2250(2100)カロリー
・生徒(12歳~14歳)の場合:2600(2400)カロリー学校給食の必要カロリーは、下記の通り。
・児童(6歳~7歳)の場合 :590カロリー
・児童(8歳~9歳)の場合 :640カロリー
・児童(10歳~11歳)の場合 :720カロリー
・生徒(12歳~14歳)の場合:820カロリーその他、鉄分、ビタミン、脂肪、タンパク質、カルシウムも必要量が決まっています。
おおよその献立目安は、下記になります。
ツイストパン、白菜と肉団子のスープ、キャベツともやしのサラダ、カスタードプリン、牛乳 621kcal
ごはん、昆布の佃煮、すまし汁、めかじきのごまみそだれ、お浸し、りんご、牛乳 592kcal
チキンカレーライス、キャベツともやしのサラダ、せとか、牛乳 675kcal
各個人へ、炊き上がりのご飯の量も文部科学省によって決まっています。
・児童(6歳~7歳)の場合 :70g
・児童(8歳~9歳)の場合 :80g
・児童(10歳~11歳)の場合 :100g
・生徒(12歳~14歳)の場合:110g上記の数値は、全国を見据えた平均的な数値であり、個人の配分にはばらつきが出ます。
そこで、現場の給食担当者が各クラスの配分を決めて、なるべく残飯が出ないよう工夫されています。
この個人差の配分は、現場担当者としてかなり苦労する仕事でしょう。
少し多めに配分する事は出来ないのでしょうか。
■給食費未納問題
近年右肩上がりの給食費未納問題。
給食の量に大きく関係している問題で、未納家庭によって多くの生徒に影響を出しています。
平成24年に公表された全国給食未納額は、22億円です。
また、給食費の未納者のいる学校の割合は、46.5%。
未納者の割合はおよそ0.9%、未納額はおよそ0.5%です。
面談による理由として、「払えない」のではなく、「払わない」家庭が多数を占めているのが現状。
なぜなら文部科学省の調査では、保護者としての責任感や規範意識の問題が61.3%であり、本当に困難な家庭は、33.9%となっているからです。
ウチだけなら大丈夫?では済まされない大きな問題です。
■給食の量に悩む現場担当者
給食費未納問題は全国で46.5%。約半数の学校が抱える問題です。
そのうち、0.9%の家庭が未納をしています。
1クラス30人(3クラス制)として単純計算しますと、、、、
1年生~6年生までの学校生徒数540人。
必要給食費(材料費)4500円
合計243万円/月
243万円の材料費が、1ヶ月の給食にかかる費用です。
そのうち、0.5%の家庭が未納だとすると、、、、
121,500円が足りなくなるわけです。1ヶ月、約12万円が足りないのです。生徒数にすると、26人分の食費が足りなくなります。
また、未納家庭0.9%を人数にすると、48人の家庭が未納となり、1クラス以上が給食費を未納しています。
つまり、48人の家庭のしわ寄せを、他の26人が背負っている状態です。年間にすると、312人の生徒に迷惑がかかるという計算になります。
■動き出した自治体
面談や電話連絡による未納家庭の指導をしても効果が現れない事を踏まえ、自治体が動きだしました。
3回給食費を未納の場合、給食支給を停止するという方法です。
埼玉県や千葉県で実施されており、この方法によって、未納家庭は改善されつつあるそうです。
もちろん、昼ごはんを抜きにするというわけでは無く、給食を停止するので、弁当を持参するように指導するそうです。
■おかずが1品減る
給食費は、すべて食材費です。
人件費や光熱費は含まれていません。
その食材費が毎月12万円足りず、年間にすると144万円分が足りなくなります。
当然全生徒へ給食は分担されますので、生徒数540人の学校ですと540人で補っています。
144万円を月にすると約2600円。
1日に120円分の食材が出ない事になり、おかずが1品減ることになります。
もしくは、
お代わりが出来ない量に給食はなるわけです。■生徒の声
給食費未納家庭のせいで、お代わりが出来ず午後にお腹を空かせている生徒がいます。
ある学校のクラスでは、班ごとにお代わりが出来る仕組みを作り、お代わり班になった時だけお代わりが出来るようにしているそうです。
お腹を空かせた子供達の中には、学校から学童保育へ行く生徒や塾や習い事へ行く生徒もいます。
夕飯までお腹が鳴っている子供がいることは確かです。
学校給食の量が少ない。
そのしわ寄せは、必要カロリーの低い低学年が一番受けているのかもしれません。
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