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冬の静岡おでん






*バーチャルな居酒屋のお話しです。





2月のある日、東京から静岡へ出張になった。

今年は大寒波が来ていて、どこも寒い。天気予報は異常気象などと伝え、静岡で雪が降っている映像を流している。なにも、今日降らなくても良いのに。。。

本社で仕事を終えたオレは、夜の東京駅から静岡へ向かって出発した。仕事は明日の朝一番から始まる。前乗りして明日に備えようというわけだ。

夜の東京駅は、少し顔を赤らめた人達で溢れていた。




冬の静岡おでん




だいぶ遅くなってしまった。本当は早めに出て向こうでゆっくりしようと思っていたが、こちらの仕事に手間取ってしまい、夜になってしまった。

新幹線に乗った時、腹が減っていることに気づいた。そういえば、昼飯もろくに食べてない。もう夕飯時か。『まあ、良い。向こうで何か食べよう・・・』。

そうしてオレの乗った新幹線は、静岡駅へ到着した。




冬の静岡おでん




寒い!

改札を出たばかりだというのに、寒さが体にしみわたる。外に出ると、雪景色が広がっていた。どうりで寒いわけだ。。。

夜の静岡駅は静かだ。オレは今日泊まるホテルの方向へ向かって歩き出した。




冬の静岡おでん




こっちの方向で良いのだろうか。。。

気づくと回りは民家に囲まれ、通りにはいつの間にか商店街も無くなっていた。

スマートフォンで現在地を確認すると、確かにホテルの方角のようだ。食事をしてからホテルに入りたいが、食事が出来そうな店は見当たらない。

雪が積もり、歩きづらくなる。足元から冷える冷気は全身を包み込み、丸くならないと歩けないぐらいだ。

腹が減った。。。何でもいい。温かい物を食べてゆっくり休みたい。




冬の静岡おでん




真っ暗な道の先に提灯が見えた。近づくにつれて、”おでん”の文字が目に入る。

地方の夜は早じまいする店が多い中、この店はやっているようだ。雪の中赤い提灯を見ると何とも温かさを感じる。急に元気が出てきた。

熱燗におでん。そんな想像をすると口の中におでんの味が広がる。ここで良い。いや、この店が良い。




冬の静岡おでん




「いらっしゃい―――」

親父の低い声が聞こえた。

まな板を見つめる目を一瞬こちらに向けた親父は、一言終えるとまた下を向いた。店名と違い愛想は良くないが悪気は無いようだ。そんな気がする。

カウンターだけの小さなおでん屋、客は一人。オレは先客より1つ席を空けて座った。おしぼりが出され、親父は作業に戻る。

オレは壁に貼ってあるメニューを見た。まずは体を温めることにしよう。




冬の静岡おでん




「熱燗下さい」

今日みたいに寒い雪の降る日は、とりあえずビールなどと言っていられない。温かい物を体が欲しているのが分かる。おでんに熱燗。そんな黄金コンビをこれから食すのだ。

「はい、熱燗お待ちどう」

酒タンポに入った熱燗を、親父が出してきた。店の雰囲気といい、良いじゃないか。懐かしい酒タンポ。屋台のおでん屋で見かけた以来だが、静岡で再び出会う事になろうとは。。。ほのかな日本酒の香も良い。ステンレスのおちょこに入れ、オレはクイッと一口飲んだ。

五臓六腑にしみわたるとは、このことだろう。熱燗の温かさが体にしみわたる。生き返った気分になった。




冬の静岡おでん




体が温まると、良い匂いに気が付いた。

そうだ、オレは腹は減っていたんだ。おでんは何があるだろう。

おでんが入る大きな器を除いてみると、居るいる、静岡を代表する真っ黒なつけダレに沈んだおでんの具達が。




冬の静岡おでん




オレは牛筋と黒はんぺんを注文した。

関東と違い、静岡おでんは独特の作り方をすることを以前に聞いたことがある。牛筋でダシを取るのだと。少しばかり知識があったオレは、おでんの上に乗るダシ粉にも動じなかった。

そうそう、こうやって粉がかかるんだよな。




冬の静岡おでん




うまい。

関東には無い独特な味がする。薄いはんぺん、柔らかく煮込まれた牛筋。口の中でとろける触感。温かくて濃い味に熱燗が反応する。

次はどうしよう。やはり関東人の定番といってみるか。

「すいません、大根と卵ください」

次は関東定番の具材を注文。違いを確かめることにする。

黒いおでんのプールから取り出された大根と卵は、やはり真っ黒だった。。。




冬の静岡おでん




この大根、本当に旨いな。

ダシ粉が効いた黒い大根を気に入ったオレは、再び注文することにした。相方は静岡のソーセージ、スーパーブー。

腹にたまるモノを選んだ。




冬の静岡おでん




酒が旨い。

旨いおでんに酒も進む。いつしか体もポカポカ。酒タンポで飲む熱燗は、目をも楽しませてくれる。

ぼーっと、熱燗ができる様を見ているだけで、飽きない。丁度良い温度で出てくる熱燗。この親父、やるな。。。




冬の静岡おでん




さて、次も静岡を楽しむこととしようか。

オレは、静岡おでん名物の ”しのだ巻” を注文した。白練りを揚げでコーテイングされた静岡おでん定番の具。東京で言うところの ”ちくわぶ” かな。




冬の静岡おでん




そろそろ腹も満たされたな。

仕上げもやはり静岡で行きたい。オレは東京にはあまり入らない ”なると” を注文してみた。

黒い ”なると” は、ラーメンに入っているそれよりも存在感が高く、一口食べると懐かしい味がした。

子供の頃は、ラーメンに入っている”なると”が好きで最後まで取って置いたものだ。大きなラーメンに1つしか入っていない薄い”なると” は特別な気がした。いつか腹いっぱい”なると” を食べたかったが、今日その夢が叶った。




冬の静岡おでん




腹がいっぱいになった。

熱燗を飲み干し、オレは親父に勘定を頼んだ。安かった。おでんは全て100円だった。

親父にご馳走のお礼を言って店を出た。

寒い夜空はまだ続いていた。けれど、入ってきた時とは寒さが大分違う。コートの襟を立てて、オレはホテルに向かって歩き出した。



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